NBA日本人初1巡目指名、八村塁

NBAドラフト日本人初の1巡目(全体9位)指名

 

6月21日(現地時間20日)にNBAドラフト2019が開催され、ゴンザガ大学に所属する日本代表の八村塁がワシントン・ウィザーズから1巡目全体9位指名を受けた。

1巡目での指名は日本人史上初の快挙で、ドラフトで日本人選手が指名されるのは、1981年にゴールデンステート・ウォリアーズから8巡目171位で指名を受けた岡山恭崇氏以来38年ぶり2人目。

 

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プロフィール

八村塁(はちむら るい, 1998年(平成10年)2月8日生)富山県出身のバスケットボール選手。身長204.5cm、体重108kg、父親はベナン人で母親が日本人。ポジションはパワーフォワードまたはスモールフォワードアメリカ ゴンザガ大学に在学中。幼少期はイチローに憧れていた野球少年。中学でも野球を続けていたが、友人からバスケットボールをを勧められたのがきっかけで、バスケットボール部のテストを受ける。そこでコーチに絶賛され、バスケットボール部に転部。奥田中学校から明成高校に進学し、2013年から3年連続でウインターカップを制覇。高校卒業後にアメリカへ渡った。

大学在学中にはNCAAの年間最優秀スモールフォワードに与えられる「ジュリアス・アービング賞」を受賞したほか、現地メディア『Sporting News』、USBWA(アメリカバスケットボールライター協会)、NABC(アメリカバスケットボールコーチ協会)の3部門でファーストチーム入り。バスケットボールの本場で飛躍を遂げた。

 

 

代表歴

2013年 バスケットボールアジアU-16選手権(イラン)3位入賞

2013年 ジュニア世界選手権出場(15年ぶり)

2014年 U-17世界選手権(ドバイ)出場 大会得点王(平均22.6点)獲得

2015年 バスケットボール男子日本代表候補に初選出(高校生選手としては唯一)

2018年 韓国との強化試合で代表デビュー

 

日本代表の「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」出場にも大きく貢献。4試合の出場で平均21.5得点6リバウンド1.3アシスト1.8スティール1ブロックの成績をおさめている。

 

 

評価されているポイント

NBA関係者に意見を聞くと、評価を高めているポイントの一つに八村が『即戦力にして素材型』であることが挙げられる。

大学に1年だけ在籍してNBAに挑戦する、いわゆる『ワン&ダン』の選手はサイズや運動能力が評価され、スキルやバスケIQ、高いレベルでのプレー経験はあとから身に着けても大丈夫だと考えられる『素材型』だ。それに対して八村のように3年生までプレーした選手、あるいは4年間を全うした選手は、アメリカ大学バスケの強豪チームを引っ張り、大舞台で勝ってきた経験を持つ『即戦力』と見なされる。

 

八村はこの両方を兼ね備えていることで評価を上げている。

 

ゴンザガ大への入学の際にレッドシャツ(登録外の選手)となることを一度はチームから勧められており、即戦力ではなかった。実際、1年目は控え選手、2年になると貴重なシックスマンとして活躍。3年にはチームのエースとして攻守にフル回転。

本来のステップを踏んでいないにもかかわらずゴンザガ大のエースとして活躍できた実績から、経験を積むことで、さらに潜在能力が引き出されるとの見方をされている。突出した成長ぶりがまだ数年は続くと期待させることが、評価向上に繋がっている。

 

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1巡目指名の凄さ

NBAでは、米国の公正労働基準法に則り「ルーキー・サラリー・スケール」が設定されている。これはドラフト1巡目指名選手の指標年俸額を示すもので、チームはその額の80~120%の範囲内で選手と契約できるというものだ。金額は全体1位指名が最も高く、順位ごとに下がる。

米スポーツ専門サイト「REALGM」によると、今年の1位指名の初年度年俸は812万700ドル(約8億6900万円)の設定。9位の八村の年俸は、371万9500米ドル(約4億円)となる見込みだ。

さらに労働基準法の規約ではドラフト1巡目指名を受けた選手は2年目の契約も保証されており、同等以上の額を得ることになる。

 

 

 

過去の日本人NBAプレイヤー

田臥勇太

NBAダラス・マーベリックスのサマーリーク挑戦をきっかけにデンバー・ナゲッツと契約しプレシーズンゲームへの出場や、アメリカ・独立プロリーグロングビーチ・ジャム・アルビレックスと契約などを経て、2004年フェニックス・サンズと契約し開幕メンバーに登録され日本人初のNBAプレーヤーとなった。

 

渡邊 雄太

ジョージ・ワシントン大学卒後、ブルックリン・ネッツの一員として、サマーリークに参加。サマーリーグ終了後の2018年メンフィス・グリズリーズと契約(2-way契約)。プレシーズンゲームではNBA公式が選出する新人ベストプレーに選ばれるなど活躍。翌シーズンに同チームにNBA出場選手登録され出場。日本人2人目のNBAプレーヤーとなる。

 

2-way契約
  • 基本的にはNBAの下部組織であるGリーグでプレーしつつ、レギュラーシーズン中(プレイオフは出場不可)最大45日までNBAチームに所属することができる。
  • NBAチームは同時に2人まで契約でき、既存のロスター枠15選手にカウントされない。(事実上各チームの選手数は17人(15人+2人))
  • 2way契約選手のサラリー(年俸)はNBAチームのサラリーキャップ(年俸総額の上限規定)に計上されない。
  • サラリーはGリーグ契約77,250ドル(約870万円)に加え、NBAチーム所属日数に応じてNBAルーキー最低サラリーの日割り分(最大で385,000ドル(約4,300万円))が支払われる。
  • 対象となる選手はリーグ在籍4年目以下の選手で契約期間は最長2年(4年目選手のみ1年)まで。