【川崎中1殺害事件】元少年3人と親に賠償命令 慰謝料など計約5500万円

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 川崎市川崎区の多摩川河川敷で2015年2月、中学1年の上村遼太さん=当時(13)=が少年3人に殺害された事件で、実刑が確定して服役している3人とそれぞれの親計8人に対し、上村さんの母親(47)ら遺族が慰謝料などの損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、横浜地裁であった。高宮健二裁判長は、少年1人の両親を除く6人に計約5500万円の支払いを命じた。

 


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 被告は主犯のA(22)、上村さんを呼び出したB(21)、凶器のカッターナイフをAに手渡したC(22)の3人のほか、ACの両親と、Bのひとり親である母親の計8人。判決はCの両親を除く6人の賠償責任を認めた。

 事件を巡っては、Aが殺人と傷害罪で、BCが傷害致死罪でそれぞれ起訴され、17年1月までにいずれも不定期刑が確定した。関係者によると、3人は同じ少年刑務所に服役している。

 重大事件の遺族は、刑事裁判の延長で、担当裁判官が同じ公判記録に基づいて賠償額を決める「損害賠償命令制度」を利用できる。ただ、この制度では賠償の請求対象が起訴された少年3人に限られる。さらに、3人の公判はCが1審から起訴内容を否認したため分離されており、上村さんの遺族は、同じ裁判で一括して3人と親に対する民事上の責任を問おうと17年11月に別途、訴訟を起こした。

 母親は今年3月に神奈川新聞の取材に応じ、「遼太に対してしたことを少年3人だけではなく、親にも忘れてほしくない」と提訴の理由を説明していた。

 刑事裁判の判決によると、上村さんは3人に1時間余りにわたってカッターで首や顔を傷付けられた上、着衣を脱がされて真冬の多摩川を泳がされた。傷痕は43カ所に達し、出血性ショックで死亡した。

 3人それぞれの関与については、Aは「主導者として最も重い責任がある」、Bは従属的ながら「事件のきっかけをつくり出した」、Cは「犯行をエスカレートさせた」と認定された。AとBは別の傷害や窃盗事件で保護観察中だった。

 

◆川崎中1殺害事件
 2015年2月20日に川崎市川崎区の多摩川河川敷で市立中学1年の上村さんの遺体が見つかり、7日後に県警は当時17~18歳の少年3人を殺人容疑で逮捕。3人は家裁送致後に逆送され、地検は殺人と傷害罪でAを、傷害致死罪でBCを起訴した。Aを懲役9年以上13年以下、Bを懲役4年以上6年6月以下の不定期刑とする1審判決が16年3月までに確定。Cは無罪を主張し、懲役6年以上10年以下とした1、2審判決を不服として上告したが、最高裁は17年1月に棄却し、全員が実刑となった。
神奈川新聞社