香港デモ、逃亡犯条例撤回の「マヤカシ」に市民怒り

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香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が4日、市民らの大規模デモの引き金となった「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回した。

香港の混迷が深まるなか、市民の要求を一部受け入れることで事態の収束を図ったが、林鄭行政長官の「マヤカシ」に香港市民は反発しているようだ。機動隊による暴行事件を引き起こした旺角警察署には、4日夜も抗議の民衆が大挙して押し掛け怒号を浴びせた。

こうした事態が起きた経緯について、ジャーナリストの田中龍作氏は、「林鄭長官の手口を知り抜いている民主派勢力は、マヤカシが繰り出されることを読んで『5大訴求』を掲げていた」と説明する。

5大訴求とは―
1)逃亡犯条例の撤回
2)警察の暴力や黒社会とのつながりに関する独立調査委員会の設置
3)プロテスターに対する監視の撤回
4)デモ隊が立法会ビルへの突入を図った6月12日の行動を暴動としたことの撤回
5)普通選挙の実施


民主派勢力はどれか一つが欠けても、デモを続けるとしていたが、林鄭長官が認めたのはわずか一つに過ぎない。香港市民が最も求めているのは2番目の独立調査委員会の設置だが、田中氏は、「中国共産党に対する追及となるため、林鄭長官が認めるわけにはいかない」と指摘。

田中氏は、逃亡犯条例撤回をめぐる報道について、「日本のマスコミは林鄭長官がいかにも譲歩したような伝え方をしているが、オカド違いだ。独立調査委員会の設置を拒んだことで林鄭長官は中国を守り切ったのである」と持論を展開した。