広島商、夏切符!15年ぶり甲子園に帰ってくる 名門復活!4元号連続の聖地

デイリースポーツ
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 「高校野球広島大会・決勝、広島商10-7尾道」(29日、マツダスタジアム
 名門が復活した。広島大会の決勝戦が行われ、広島商尾道を10-7で下し、04年以来15年ぶり23度目となる夏の甲子園出場を決めた。伝統の機動力を織り交ぜた隙のない攻撃で得点を重ねた。昨年8月1日に監督に正式就任した荒谷忠勝監督(42)は、選手とのコミュニケーションを大事にしながらチームを一つにまとめ、令和初の甲子園出場に導いた。

 荒谷監督はこみ上げる感情を抑えきれなかった。閉会式後には膝を折り、おえつした。大粒の熱いものが頬をつたう。15年ぶりに決めた甲子園出場。選手一人一人と握手を交わすと、直後のミーティングで「胸を張ろう!」と声をかけた。
 「勇気を持って戦い抜いてくれました。一戦一戦、成長し、思う存分に広商の野球をやってくれた」。頼もしいナイン。自然と言葉に力がこもった。
 三回までに10点を奪った攻撃は、伝統の機動力を絡めたもの。初回は天井一輝外野手(3年)の二盗など3盗塁。三回も積極的走塁が8点をもたらした。「常に次の塁を狙っていた」と天井。荒谷監督が「勇気を持って前へ」と言い続けてきた言葉を体現した。
 昨春に発覚した部内暴力により若松前監督が退任。昨夏に母校の監督に就任した。大事にしたのはコミュニケーション。授業の合間には真鍋駿主将(3年)らと意思疎通を図った。「情熱をどう伝えるかが大事だと感じた」。指揮官として理想とするサッカー日本代表・森保監督について書かれた「束ねる力」という本に目を通して見識を深めたり、漫画のフレーズを使って練習意図を説明したりした。角度を変えて思いを表現することで、理解を促した。

 指導者としての転機は、11年間務めた呉商時代にある。就任から数年間は厳しさを前面に押し出した。「何でそういうプレーをしたんだろうとか、気持ちを考えることはなかった」。しかることも多かった指導は、選手に恐怖心さえ与えていた。
 結婚し、子どもが生まれたこともきっかけとなり、30歳前半から徐々に変化が生まれる。「怖いだけではだめ」。厳しさの一方で、前向きにさせるような言葉を使うようになった。個性を伸ばしたチームは公式戦で上位に進出。「呉商で育ててもらってそれを広商でやっている」。感謝の気持ちでいっぱいだ。
 大正、昭和、平成、令和と4元号連続で甲子園の土を踏む。「日本一を目指す気持ちがなければ、きょうという日はなかった。あくまで通過点で、まずは1勝したい」。42歳の監督が率いる広島商が、大きな夢へと突き進む。