韓国人旅行者が日本で使うお金 中国・米国人の3分の1
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昨年、日本を訪れた韓国人の数は延べ約754万人。7人に1人の韓国人が来日している計算だ。これは韓国を訪れた日本人の2.5倍にのぼる。
しかし、ここにきて訪日韓国人の数は減少傾向にある。ジャーナリストの河鐘基氏は次のように説明する。
「今年1月から5月の集計で訪日韓国人は325万人ほど。前年同期比で4.7%の減少です。日本政府の輸出規制などへの反発で、この傾向はさらに強まるでしょう。実際、韓国の大手旅行代理店のハナツアーは7月5日以降、新規予約が前年比で30%減少したと発表しました」
大口顧客である韓国人観光客を失うことで、日本のインバウンド市場は苦境に陥るのだろうか――実はそうでもないようだ。
「確かにかつての韓国人旅行客は日本の最大のお客さんでした。2000年に100万人を突破し、その後も順調に数字を伸ばしてはいます」(河氏)
ただ、近年は事情が変わってきている。理由のひとつが中国人観光客の激増だ。
「2000年には35万人程度でしたが、2008年には100万人を超え、そのわずか6年後の2014年には200万人を突破。さらに翌2015年には499万人で、400万人強の韓国を一気に抜き去りトップに躍り出ました。2018年の中国人旅行客は838万人に上り、韓国を80万人上回っています」
しかも、見逃せないのは韓国人旅行客の日本での“消費”が少ないことである。
「一人あたりの旅行に使う支出でみると、韓国人は約6万9000円と主要国のなかで最も少ない。近いので平均滞在日数が短いという背景はあるものの、これは米国人(約18万9000円)の3分の1、中国人(約22万7000円)の3割以下です。
さらに近年ではフィリピンやベトナムなどのアジア勢も訪日客も急増しています。ベトナムなどは消費ランキングでもトップ10に食い込んでくるほどの実力を付けてきている。訪日韓国人が減っても、大勢に影響はないように思います」(河氏)
一方、日本から韓国への旅行客減は、韓国にとって痛手のようだ。
「ハナツアーは、日本人観光客の減少を受けて、今年の上半期の営業利益が25%以上減益となっています」
※週刊ポスト2019年9月13日号